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モデルハントの現実

Posted by Cafe Bleu on   0 

いちおう No.26 からつづきの「番外編」です。

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今回は箸休め的な話ですが、モデル調達の現実をお伝えします。

ただし、「現実」と言ってもかれこれ30年近く前の話なので、
今の時代の話とは違います。 あしからず。

モデル探しは「努力と忍耐」、
それと、「誠実な気持ち」でしょうか?

古臭いですが、それ以外では表現できません(笑)

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「モデル探し」・・・
それは、入店してすぐ、シャンプー試験の頃から
始まっていました。

シャンプーするのにモデル?

・・・そう思われることでしょう。
そもそも美容はキレイにする対象があっての仕事なので、
シャンプーからちゃんとモデルさんを使って練習します。

まず初めは先輩方の頭を借りて練習するのですが、
すぐに取り合いになります。

各店(都内3件)に配属される先輩の数は多くても15人、
プラス新人が3人程度という割合ですから、

一日多くても5人の先輩の頭のシャンプーをするのが限界です。
(一人当たりの所要時間は15分~20分。)

それ以上の練習がしたかったら、
先輩方が自分の練習のため連れてきたモデルさんに
お願いしてシャンプーだけさせてもらうのですが、、、

モデルになる人もたまったものではありません・・・

下手なシャンプーほど「最悪」なものはありませんから(笑)
衿は濡れるは、下手すりゃ服まで濡れます・・・

そうなることを重々承知の先輩方を引き留めるのも
「誠意&情熱」しかありません。

最初は付き合ってくれた先輩方ですら、
時間の経過と共に知らぬ間に
しれ~っと帰ってしまうのですから。

先輩方に残ってもらうためには
とにかく「根回し」が必要でして、
帰ろうとする先輩を捕まえては上手いこと言って

説得するしかありません。

それも今後の成長につながる大事な駆け引きなのですよ(笑)


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そして「パーマ試験」の頃になると、
さすがに先輩の頭を借りる事は出来ません。

「モデル探し」もいよいよ本格的になります。

さぁ~て、どうやって探すかです。

初めは先輩方のモデルハントに同行して、
やり方を教えてもらうのですが、それは・・・

仕事終わりで、
表参道の交差点に立って探すのですが、

そこは 美容室の「聖地」 的な場所。

色々なサロンの美容師がはびこっています(笑)


「あ、あの娘、今度のパーマにちょうど良さそうな長さだ!
                        し、しかも可愛い!」

な~んて思ったのも束の間、
ササ~っと他の店のヤツにさらわれる(笑)

「くそ~遅かったか~!」

・・・そこには一般人には見えない 競争社会
うごめいていたのです。


とにかく、スタイルに合うモデルさんを探して、
いかに早く交渉するか!

まずは大勢の人の中から 「探し出す目」 を持つことです。

通勤途中でも、、、、
休みの日に遊びに行っても、、、、

広い視野を持って敏感に探す!
これは先輩から叩き込まれました。

あの長さなら12mmロットで巻けるだろうか・・・
ちょっとネープ(襟足)が短すぎるかな?
8mmならいけるかなぁ・・・

ああいう軟毛って難しいんだよな・・・あえて行ってみるか?
この子はパーマかけたら絶対に可愛くなるな・・・

お 恐ろしく可愛い!
・・・あ、見たことある顔だからきっと本物のモデルさんだ・・・

切らずに行けそうな長さだけど、
声掛けても聞いてもらえなそうなタイプかな・・・

この子、しばらく美容室に行ってなさそう、チャーンス!
この子ならちゃんと話を聞いてくれるかも? 

・・・よっしゃ、行くか!

ってな調子で、
どこに行ってもそんなことばかり考えて歩いてました。

(注: ナンパではありません)


たまに行く東京の街でも、
必ず芸能人やモデルさんを見つけてしまうのは
そのせいですね。

審美眼って言うんですか?鑑識眼って言うんですか?
とにかく、そういうのがやたらと働くようになってしまいました。
(ある意味職業病です。)

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さて、入社3~4か月目のある日の休日、
私は先輩とともに朝から「渋谷」の街に立っていました。

先輩がどうしても10人のモデルが必要だと言うので、
「手伝います!」と軽く言ったら、

「じゃ~明日朝9時にPARCOパートⅠ前ね!」って・・・

でも、次の朝 9時にPARCO前に行ったのに誰もいない・・・
「やられた~」と思いつつも、
自宅に電話してみると・・・当時は携帯電話はありません

3回かけても出ない。 

もう家を出たのだろう!
と自分を慰めつつ待ってみたものの、既に10時。
また電話したら・・・

「ああ、今起きたわ。それで何?こんな時間に。」

はぁ~???
「先輩、朝9時って言ったじゃないですか?」

「あれっ?そうだっけ?ごめんごめん。
今からシャワー浴びて行くわ!それまでひとりで探しといて!」

「先輩何時に来るんですか?」 

「早めに行くから!ガチャ・・・・・・」

おい!何時に来るんだよ!
 
本当にこの先輩には振り回されっぱなしでしたが、
助けてもらうことも多かったので仕方ありません。

そして先輩が来た頃、すでに1時。

「飯食った?飯食おうよ!メシ!」

「おごりっすか?」

「なんでお前におごるんだよ!」

・・・ホント意味が分らない人です(笑)

その当時の私の給料は悲惨なものでした。
できるなら休みの日は食事もとらずに動かない方法が
一番安上がりなわけでして・・・

それを知っていてのこの言動!
それも時間テキトーだし!

まあ、そんな人ですが、
面白いから いつもくっ付いているわけでして・・・
もう慣れましたわ(笑)

・・・話が逸れてしまいましたね、すみません。

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さて、それから本題の「モデル探し」をするのですが、
そこから夜9時まで・・・
私は12時間も渋谷に立ちっぱなしです。

それでもなんとかモデルさんを探し出して
お願いするのですが、

当時の私たちには

「名刺」も何もありませんでした。


それでも、私たちを信じて
10人もの人たちが来る約束をしてくれるなんて、
本当に「平和な時代」でしたよね。

どうして来てもらえたのでしょうね?

私自身、当時は本当に「一生懸命」だったのでしょう。

怪しまれたり、
無視されたり、
精神的にも体力的にもつらい中、

会話だけで信じてもらえるよう、
とにかく誠意を持ってお願いしたからなのでしょう・・・

(今、自分の家族がそんなこと言われたら、すぐに断らせますが(笑))


イケメンが絶対的に有利 

であったこのモデルハント、
ビジュアル的に恵まれていなかった私(笑)に
勝ち目があるとしたら、、、、、

誠意をもって
「一生懸命」交渉することだけだったと思います。 


見てくれ重視の世の中にも、
親にも(笑)、
文句の一つも言ってやりたい気分でしたが、

まあ「己」を知る良い機会でもありました。

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さて、モデルさんをお願いすると、
必ずその後のことを考えます。

ショートレイヤーでパーマをかけると、
自然に伸びてくるとミドルレイヤーになって
意外にいい感じのまま過ごしていただけるのですが、

パーマが突然取れ始める時が来るのです。

そこが見極め時!

半年もすると、
次の試験に格好のスタイルになっているのです。

そしてウェーブ試験が終わり、
パーマ試験の最終段階になる頃
ショートの提案をするのですが、

OKをくれた方は
ショートのパーマスタイルや
ピンパーマのモデルになってもらえる…
という順番ができてきます。

ただし、

この様にトントン拍子にうまくいく例は「稀」で、

突然「切りたい!」とか、
パーマを取りたい!とか、
スタイルチェンジをしたい!

というのが女心なのです。まあ、よくある話です。

でも、しょせん練習中の身の私は、
決められた範囲内でしか練習できません。

そうなると許容範囲が広い先輩にバトンタッチ
せざるを得なくなり、

その後の彼女のスタイルは
「先輩任せ」になってしまいます。
これは どうしようもない現実です。

ただし・・・

しばらくすると、8割ぐらい
戻ってきてしまったでしょうか?

引き継いだ先輩の性格の問題や、
無理矢理なスタイルチェンジが嫌で、
「お願い、直して~」って連絡が入ったりしてね、

結局は最後まで私が面倒を
見ることになるのです。

(中には、飲み会に誘われて
お持ち帰りになってしまった方がいたりで
そのフォローのほうが大変でした。)

だって、

名刺も何もない「私」のことを
信じて来てくれた方々ですもん、

最後までちゃんと責任を持たないと
男が廃りますよ!(笑)

そんな方々は、
私が店を辞める時まで ずっと
担当させていただきました。

最終的には
70人ほどのモデルさんを持つことになったので、

最初の年に頑張って探した「モデルハント」は、
すべて良い結果になったという事です。

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とにかく、サロンワークの他にそんなことを、
ずっとやっていたのですから、
今思うと本当に大変な時代でしたね。

こんな事を書くと語弊があるかもしれませんが、
やはり「人見知り」や「口下手」は
美容師に向いていなかったと思います。

あの時代の人見知りの美容師は、
間違いなく試験の結果が遅かったですから…

でも、今どきはそんなこともないのですよ・・・

今は、「マッチングサイト」とやらが
あるっていうじゃないですか?

モデルを探している美容師と、
カットモデルになりたい子とを
マッチングさせる、、、

「ネット上」でのサービスが流行ってるらしいですね・・・

どんなことにも当てはまりますが、
世の中どこまで「時短」すれば気が済むんでしょうね? 

しかも最近は、

練習も「営業中」にするんですって。
それも有料で。

(あれ?それってモデルという名の割引なだけでは?)

苦労することもなく、与えられた仕事をこなすだけで
いい結果は出ないと思うのですが・・・

それも有料で(笑)!  しつこい!(笑)

私たちの頃は営業後の練習でしたから、

仕事が遅い = モデルさんが終電に乗れない=自腹でタクシー代! 

なーんてこともありました。
(始発までの時間つぶしで一緒に酒を飲んだこともあります。)

たびたびそんなことをしていたら
死活問題なので(給料安い)、

練習とはいえ
ピリッとした時間管理を余儀なくされたものです。

ただし、練習はすべて「無料」でしたけど・・・ しつこい!(笑)
いえね、無料というより逆に出費してましたよ。


ですので、
今どきの美容室の教育スタイルがどうも理解できなくて・・・
(まあ、そういう時代ですわな。労働基準法とかあるし)

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世の中の仕組みがどんなに変わろうとも、

美容って
「人と人」とが直に関わらないと成り立たない仕事なんですよね。

人と関わる以上、技術の「他」に大切なことって
たくさんあると思うのですよ。 

たしかに昔の「モデル探し」は大変でしたが、
苦労を知っている者だからこそ、
街に立たなくとも練習ができるようになった時代は
喜ばしいことと思います。

が、その反面、

大切な「何か」を学ぶ機会を
無くしてしまうような気がしてなりません。

自分の足で、目で、口で、心で、
「何か」を感じるのが人間ってものなんじゃないかな? 

これから成長する若い人達が

「人」として肝心なものまで

無くしてしまわないと良いのですが・・・

                                     つづく

                             November.04.2014 店主 




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